既に外壁は仮囲いに覆われて、もう二度とこの姿を見ることはできない。

新朝日ビルが大好きだ。
フリーペーパー『月刊島民2号』誌上で
中之島に建つ建築ベスト3を選んだときも、
新朝日ビルをベスト1にあげた。
『断トツのベストワン』と書いた。
同じ誌上で間宮吉彦さんもベスト1に選んでいるし、
僕のまわりにもこの建築が好きだという人が多い。
とても多い。
中之島で一番光ってた、マジで(泣)。

新朝日ビル(解体されてるビルに「新」と付くのも皮肉な話だ)、
何がカッコイイってメタリックに輝くアルミのプレスパネル。
現在でも金属パネルは普通に使われるが、
四角い紙を折ったようなパネルはこの時代に特有のものだ。
未来的というか宇宙的というか、
1958年に現れたメタリックボディは相当斬新だったに違いない。
しかもホテル!

そしてその未来性を更に強調するのが、
過剰にカッコよすぎる塔屋とそびえ立つ鉄塔。
斜体のかかった「asahi」のサインも効いている。
一度で良いからこの塔屋に昇ってみたかった。

そんなメタリックな外観も、
角を曲がればシックなタイル壁に牧歌的なレリーフが踊る。
行動美術協会の共同制作による信楽焼の『牧神、音楽を楽しむの図』。
フェスティバルホールのシンボル的存在だ。
メタリックなパネルと信楽焼のレリーフが
平気な顔してひとつの建物を飾る。
今の目からみれば相容れないようにも感じる対照的な要素、
それを共存させて別に何とも思わなかったその驚きの感覚にこそ、
この時代の建築の魅力を解く鍵が潜んでいるように思う。
合掌。